グローブが長持ちするメンテナンス術FEATURE
正しいやり方は? 頻度は?
愛用のグローブ・ミットを長持ちさせたい。
そう思っていても、正しいメンテナンス方法がわからず「自己流」でやってしまっている…という方は多いのではないでしょうか?
誤ったメンテナンスは、グローブやミットの革にダメージを与えてしまったり、グローブを不要に重くしてしまったりすることがあります。
この記事では、日々グローブの修理やメンテナンスを行っているRe-Birthのグラブマスターが、正しいメンテナンス方法をわかりやすくお伝えします。
メンテナンスに必要な道具
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- ①豚毛ブラシ (革靴用ブラシでもOK)
- ②歯ブラシ
- ③クリーナー剤
- ④タオルまたは雑巾
- ⑤保革用オイル
- ⑥スポンジ (硬いものやメラミンスポンジはNG)
- ⑦馬毛ブラシ
- ⑧グラブムートン (メガネ拭きなどマイクロファイバー素材でもOK)
土や砂、ほこりを落とす
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毛の硬い豚毛ブラシを革目(縦方向)に沿ってかけ、グローブに付着した土や砂、ほこりを落としていきます。
ほうきでさっさっと掃きだすようなイメージです。グローブのシワにも汚れが入り込んでいるので、伸ばしながらブラシをかけるのがおすすめです。
作業の目安時間:1~2分程度
1POINT ADVICE
革目(縦)の方向にそってブラシをかけると、土や砂などがスムーズにかき出され、汚れが落ちやすくなります!
汚れや古いオイルを落とす
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タオルや雑巾にクリーナーオイルをつけ、くるくると円を描くように汚れ、古いオイルを落としていきます。
シワや紐など細かい部分には、使用済みの柔らかい歯ブラシを使うと汚れが取りやすいです。
また、一気に広い範囲をやろうとせず、作業範囲を小分けにしてみてください。
作業の目安時間:~30分程度
1POINT ADVICE
1箇所の作業範囲は500円玉サイズが目安です。
時間をかけ丁寧に汚れを落とすことにより、仕上がりの綺麗さがぐんとアップしますよ。
保革用のオイルを塗る
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保革用のオイルを、スポンジなどを使ってグローブ全体に薄く塗ります。素手でももちろんOK。
仕上げは次の工程で行うので、ここではオイルを全体に塗布することを意識します。
オイルで革を保護することにより、グローブの裂けやひび割れ防止になります。
作業の目安時間:5分程度
1POINT ADVICE
オイルの種類や機能はメーカーによって違います。
僕のおすすめは、自然な艶に仕上がる、グラブに浸み込みにくいオイルです!
オイルを均一に伸ばし、
磨いて艶を出す
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「3」で塗ったオイルを、馬毛ブラシで均一に薄く伸ばしていきます。(ここでもブラシをかける方向は縦に)
この工程により、オイルの浸み込みすぎでグローブが重くなるのを防げます。
オイルが均一に伸ばせたら、グラブムートンやマイクロファイバー素材の布で磨き、艶を出して完了です。
作業の目安時間:5分程度
1POINT ADVICE
全ての作業を終えたら、一晩寝かしてオイルを馴染ませましょう。塗布直後のオイルは汚れが付着しやすいため、お手入れが台無しになってしまいます。
メンテナンス中にこんな症状に
気づいたら、当店にお持ち込み
ください
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紐が消耗し
細くなっている箇所がある試合中に切れてしまうなど大事な場面でピンチを招くまえに、紐の交換をおすすめします。
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受球面に破れている箇所がある
早めに修理することで傷口の拡大を防ぐことができ、グローブ自体の寿命を伸ばすことにもつながります。
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ヘリ革の一部が破れていたり、
剥げている放置すると、グローブ内部に砂などが入り込んで重くなり、グローブ自体の劣化も早くなります。
Re-Birthグラブマスターからの
コメント
普段のメンテナンスは、グローブを使ったその日のうちにSTEP1~2を行い、1~2週間に一度STEP1~4のすべての工程を行うのがおすすめです。(オイルの与えすぎを防ぐため)
また、こまめにメンテナンスを行うことによりグローブの現状を把握し、小さな変化にも気づくことができます。
やがてそれは、自分のコンディションはもちろんのこと、チームメイトのメンタルや体調の変化をいち早く察知できる「気づく力」につながっていきます。
グローブのメンテナンスは本体を長持ちさせるだけではなく、「小さな視点を持つ練習」をしていることになるのです。
そんな考え方を持ちながら、ぜひ丁寧なお手入れをしてみてくださいね!
GLOVE MASTER PROFILE
- 大木 賢SATOSHI OHKI
- Re-Birthグラブマスターチームのリーダー。大手スポーツ店にてグローブリペアの基礎技術を習得し、ミズノリペアマン資格を取得した後、Re-Birthに加入。主にフルリメイクや捕球面・背面張替え、オリジナルウェブ制作など、難易度の高い修理・リメイクを担当し、お客様の期待を超える技術やサービスの追求を行うとともに後進のグラブマスターの育成も行っている。